お仕事

介護離職を避けるために必要なこと

machikado_170906_05

家族の介護や看護を理由に離職・転職をする人の数は、1年で10万人以上にのぼるとされています。看護師さんの中でも、ハードな勤務と親の介護の板ばさみで悩んでいる人は多いようです。そこで今回は、介護と仕事の両立について考えてみましょう。

介護離職のデメリットとは

看護師としてのキャリアを懸命に重ね、働き盛りになったところで親が体を壊し、介護による離職を考えざるを得ない人も多く見られます。しかし実際には、介護離職をすると収入が途絶えたり、介護終了後の再就職が困難になったり、社会から孤立することで精神的に追い込まれたり…といった不安な側面もあります。では介護離職を避けるためには、どんなことが必要なのでしょうか。

まずは冷静に自分の人生を考えて

目先の仕事で忙しいところに介護の問題が重なると、限界を感じてつい投げやりになり、早々に退職や転職の決断をしてしまう人もいるでしょう。しかし、自分のキャリアや収入を無理にあきらめると、それが原因でのちのち精神的に追い込まれ、介護される側や周りにストレスをぶつけてしまうといったことも…。また一方で、仕事と介護をどちらも完璧にしようと頑張りすぎ、体を壊してしまう人も少なくありません。
介護の問題はどんな形を選んでも、あとで「後悔はゼロ」と言える人は少ないもの。それでもまずは、要介護者だけでなく自分や家族も大切にできる方法を冷静に探ろうとする心持ちが第一です。

職場では詳しい状況を共有して

離職をせずに仕事を続けていくためには、介護の状況をしっかり職場で共有することが大切。要介護者の現状や家庭環境、どんなときに仕事に影響するか…など、なるべく詳しく伝えておくことがポイントです。家庭の状況を話すことには抵抗を感じるかもしれませんが、具体的に伝えておくことでいざというときに協力を得やすくなります。
また、場合によっては相談の上、勤務形態を変えるという方法もあるでしょう。離職して収入がなくなる道よりも、非常勤や派遣社員、日勤のみの働き方を選んだり、時短勤務が可能な部署へ異動をしたというケースもあります。

介護サービスの積極的な利用を

machikado_170906_06

「家族を自分で介護しないことに罪悪感がある。ましてや自分は看護師なのに…。」と感じる方はいまだに多いようですが、そうした後ろめたさは持たないことが最も重要。自分の生活も考え、手が回らないことをプロに頼むのは介護の放棄ではなく、介護の延長線上にあると考えましょう。
介護の悩みが生じたら、まず地域の福祉課や地域包括支援センターでケアマネージャーを紹介してもらい相談をしましょう。介護保険を利用したり、介護施設や訪問介護、デイサービスのほか、食事の宅配サービスや家事代行など介護の一部をプロに頼るだけでも、介護者の負担は大きく減るでしょう。

何より一人で抱え込まないこと

介護にまつわる決断と仕事を両方一人で抱え込み、責任感に押しつぶされてしまう方も少なくありません。他の親族に余裕がないから…旦那さんが長男だから…など、状況によっておのずと責務がのしかかっているという方も多いでしょう。しかし介護の問題はもともと、家族全体のものです。ご家族や親戚などで問題を共有し、よく話し合うようにしましょう。
義務感から介護を無理に抱え込むことは、結果的に介護される側や自分自身にしわよせが行くことにもつながります。ご自身の健康状態や将来設計などを大切にしたうえで、無理なく仕事と介護を続ける方法を探ってみてくださいね。

 

参考:総務省「平成24年就業構造基本調査」
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/pdf/kgaiyou.pdf