看護師として働いていくなかで、看護師資格の生かせる「保健師」の仕事に興味をもつ人も多いと思います。看護師と比べて保健師の仕事はどんなものなのか、どうしたらなれるのか見てみましょう。
保健師はどんな仕事をするの?
保健師は、地域の保健所や保健センター、企業、学校などで、健康相談や検診、保健指導などを行うのがおもな仕事です。病気になってしまった患者さんの治療・回復を助けることが看護師の仕事であるのに対し、保健師の仕事は病気を予防するための手助けをすることであると言えます。
保健師は、働く場所によって以下のような種類に分けられます。
●行政保健師
都道府県や市区町村に所属し、地域の保健センターなどの公的施設で活動します。公務員として勤務し、全国の保健師の約7割がこの行政保健師です。
施設で健康相談を受けたり、予防接種や検診、講習会、感染症の調査や対策を行うほか、地域住民への訪問相談をすることもあります。
●産業保健師
企業や健康保険組合に所属して、社員や労働者へ健康指導を行うのが産業保健師です。健診や研修を執り行うほか、最近では社員のメンタルヘルスやストレスへのケアも重視されているため、労働環境の改善策を考えたり、社員と面接を行うこともあります。大企業に属する安定性などから人気の職業です。
●学校保健師
学校保健師は、おもに大学や短大や、一部の小中高で働く保健師です。「保健室の先生」と混同されがちですが、そちらは養護教諭として教員採用試験に合格することが必要となり少し違いがあります。学校保健師は、生徒や職員の健康相談や、ケガや病気の対応、メンタルケアを行っています。
保健師へ転職するメリット・デメリットは?
■メリット
保健師へ転職するメリットとしては、まずは残業が少ないということ。ハードな看護師の経験を経て、夜勤もなく生活リズムをキープできる保健師への転身を考えるようになった人も多いでしょう。
公的施設や企業などに属して働くことから、基本的に土日祝日はしっかり休みがとれることも魅力です。行政保健師は公務員となるため、安定性を求める人からも人気です。
■デメリット
デメリットとしては、看護師と比べて給料が下がるケースが多いこと。夜勤手当等もある看護師と比べて、保健師の手取り金額は一般的に下がることが多いでしょう。
また、求人が少なく倍率が高いということも挙げられます。保健師は人気の職業であるのに対し、施設や企業に属する保健師はとても少ないのが現状です。保健師になるには、後述のように資格取得にあたって時間やお金も必要になることも考慮しなければなりません。
保健師に転職するには?
そんな保健師の仕事へ就くには、以下の条件があります。
◆看護師資格を保有していること
◆指定の養成所・学校で1年以上学ぶこと
◆保健師国家試験(年1回)に合格すること
保健師の国家試験の合格率は、例年多少波がありますが85%以上となっており、年度によっては90%を超えることもあります。
さらに、行政保健師になるには公務員試験に合格する必要があります。公務員試験には自治体によって年齢制限があるので、目当ての自治体のある人は必ず確認しましょう。
産業保健師、学校保健師になるには、求人情報や企業のサイト、学校のサイトでの募集に応募することになります。そのほか、看護師仲間の紹介やツテをたどって就職するケースもあるようです。
難関はあっても、やりがいのある保健師
このように、資格取得に時間が必要だったり、求人の倍率も高かったりと難関のある保健師ですが、より幅広い人の役に立てるといった面ではやりがいの大きな職業。看護師の資格を生かしつつ、ライフワークバランスを尊重できる点も魅力ですね。
興味のある方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
参考:Career Garden サイト
http://careergarden.jp/hokenshi/exam/