医療現場で求められる呼吸療法のスペシャリスト「3学会合同呼吸療法認定士」の資格について紹介します。キャリアアップしたい看護師さんにおすすめの資格です。
どんな資格なの?
高齢化が進むなか、重症患者管理の必要性や頻度が増しています。その大きな要となるのが呼吸療法であり、その重要性は高まっています。しかし、呼吸療法の技術を持った医療人材は不足しているのが現状です。「3学会合同呼吸療法認定士」は、呼吸管理を行える医療人材のレベル向上と維持を目的に、「日本胸部外科学会」「日本呼吸器学会」「日本麻酔科学会」が合同で創設した資格です。
医療資格別認定者数の内訳をみてみると、
臨床工学技士…13.3%
看護師…48.5%
准看護師…0.9%
理学療法士…34.3%
作業療法士…3%
となっており、看護師に多い資格となっています。
資格を取得するメリットは?
呼吸療法認定士は国家資格ではないため、資格取得によって、特別な医療行為が行えるようになるといったことはありません。アンケート調査では、呼吸療法認定士の資格を取得した看護師で実際に呼吸療法に携わっているのは41 %にとどまっているという結果も。また、資格取得で給与がアップしたり、昇進したりするといったことも稀にはあるようですが、多くの場合は特別に優遇されることは少ないというデータがあります。
しかし、呼吸療法認定士の資格を取得した看護師の67%は「呼吸療法の技術水準が向上した」と実感しており、臨床の場面で役立つ資格でしょう。
資格を取得するには?
資格を取得するためには、学会の定める認定講習会を受講し、認定試験に合格することが必要です。
[講習会の参加資格]
認定講習会の参加資格として、看護師の場合は2年以上、准看護師の場合は3年以上の実務経験が必要です。かつ受講申込から過去5年以内に、認定委員指定の学会や講習会に出席して12.5点以上の点数を取得している必要があります(その受講証、または修了証の写しを受講申し込み時に添付)。
[講習会の講義内容]
東京の会場で2日間の講習を受けると認定試験の受験資格を得ることができます。
講習会の講義内容は以下になります。
1.血液ガスの解釈
2.呼吸不全の病態と管理
3.酸素療法
4.人工呼吸器の基本構造と保守および医療ガス
5.気道確保と人工呼吸
6.呼吸リハビリテーション
7.人工呼吸中のモニタ
8.呼吸不全における全身管理
9.開胸・開腹手術後の肺合併症
10.新生児の呼吸管理
11.NPPVとその管理法
12.呼吸機能とその検査法
[認定試験]
呼吸療法認定士の資格試験は年に1度、筆記試験(マークシート式)のみで行われます。
[資格の更新]
呼吸療法認定士資格の有効期間は5年間。さらなるレベルアップと生涯学習の促進を図るため、5年ごとに認定の更新を必要としています。資格を保持し続けるためには、定められた各学会、講習会などへの出席や論文発表などによって総得点50点以上を取得し、認定委員会へ必要な書類を提出する必要があります。
まとめ
今後、呼吸療法認定士の需要はますます高まると思われます。たとえ、直接的な待遇アップには繋がらなくても、学んだ知識や技術は臨床の場で活かせるはず。向上心のある看護師さんはぜひトライしてみてはいかがでしょうか。
★参考
・医療機器センター
https://www.jaame.or.jp/iryo/kokyu/
・3学会合同呼吸療法認定士の活動状況に関するアンケート調査
https://www.jaame.or.jp/iryo/kokyu/pdf/c_katudou.pdf