看護師が働きたい診療科として人気の「小児科」。子どもが好きな看護師さんにとって小児科への転職に対する期待は大きいかもしれません。とは言え、小児科も医療機関。実際には大変な面も多く、勤務体制や仕事の難易度など、いろいろな特徴があります。今回は小児科への転職を考える方のために、知っておいて欲しい基本的なポイントについてご紹介します。
小児科は大きく分けて4タイプ
小児科と言っても、いろいろな種類の小児科が存在します。一般的に小児科は大きく4つのタイプに分けられます。よく目にするのは「クリニック」、「小児病棟」ですが、その他に、「NICU」や「GCU」などがあります。
「クリニック」は、比較的症状の軽い子どもが対象の通院性の診療所。通常の診療に加えて、健診や予防接種もあり忙しいですが、休診日が確保されています。総合病院の小児科の、さらに「小児病棟」となると、主に入院が必要となる子どもが対象なので、親御さんとの関わりがクリニックに比べて深くなります。一方でさまざまな知識やスキルが身につくというメリットもあります。
「NICU」は生まれて4週間以内の新生児が対象の、命にかかわる重篤な患児のための集中治療室。「GCU」はNICUほど重篤ではなく、回復の目処がたった新生児が対象の回復治療室です。
どの小児科にしても言えることは、残業は比較的多めということです。
小児科は看護師のスキルアップにもってこい
小児科はまだ意思疎通が取れない子どもに接するという点でも大変なことが多いですが、看護師の医療処置スキルを上げるにはうってつけの現場とも言えます。なぜなら、子ども用の医療器具は大人のものに比べて小さく作られているので、より繊細な操作が必要になります。そのため、子ども用の医療器具の扱いに慣れることで、医療処置スキルが上がるというわけです。また、小児科は年齢で一括りにされるので、成人のすべての科が集まるようなもの。扱う疾患が多く、幅広い知識が身につくというのもメリットと言えます。
看護以外にも業務量がたくさん
小児科の難しさは、患者が子どもなので、意志疎通がなかなか図れないことが多いという点。通常でさえなかなか言うことを聞いてくれない時期の子どもなのに、その上体調が悪い状態では、薬を飲ませる、注射を打つというだけで何時間もかかってしまうなんてことも頻繁にあります。泣きわめく子どもを押さえつけて処置を施すのは、かなり根気のいる作業です。抱っこしたり、あやしたり、保育をするような場面も多々あるので、業務量は他の診療科に比べて多めと心得ておくべきかもしれません。
少子化の影響から小児科の求人数は少なめ
少子化の影響はもちろん、小児科医の減少にも伴い、小児科の数は減少傾向にあります。さらに、小児科は人気も高く離職率が低いので、求人数は多くありません。ただし、パートやアルバイトなど非常勤での求人は比較的多め。これは小児科側も育児経験があるママ看護師を求めているということでしょう。
子どもだけじゃなく親との関わりが多い
小児科で他の科に比べて断然多いのが患者の親との関わりです。親とのコミュニケーションはとても重要で、子どもの病気やケガの症状など、理解してもらうように説明する必要があります。さらには、帰宅後の日常生活についても指導やアドバイスをしなければなりません。自分の子どもが病気やケガをしていると、親もナーバスになっていることが多く、親身になって話を聞いてあげたり、親の不安まで緩和してあげるくらいの配慮が必要です。
まとめ
小児科は看護師のスキルアップにもってこいの環境である分、業務量が多く大変な仕事と言えます。それでも、病気やケガをした子どもに笑顔が戻ったり、回復して元気になった子どもの姿を見られるのはとても喜びが大きく、やりがいを感じられる仕事ですね。