なかなか知ることのできない、海外の看護師事情。国によって、役割や待遇には意外な差があるようです。
看護師の役割・待遇は国によりさまざま
どこの国でもたくさんの看護師が活躍していますが、その役割や待遇は、国によってさまざま。
日本での看護師は、夜勤などもあり仕事はハードだけど、給与面も水準が高いというイメージですが…。海外ではどう違うのか見てみましょう。
看護先進国のアメリカでは?
看護先進国とも言われるアメリカ。日本と違うのは、看護師の仕事がかなり細分化されているという点です。
例えば、日本の看護師は病棟での患者さんのケアのほかに、患者さんの搬送や食事の運搬、採血など、あらゆる仕事を担当します。そのため、病棟を離れていろいろな場所で仕事をすることも多いもの。
しかしアメリカでは、患者さんの移送は病院の用務員が行い、食事の運搬は食事の担当者が、採血は採血士が、吸入は呼吸療法士が行うなど、仕事が細かく分担されています。
そのため、看護師は患者さんに対し、ひとりの個人としてしっかり向き合う役割を担えるのです。
また、アメリカでの看護師の待遇や収入は日本より高く、専門知識にも特化しているため医師と同等の地位をもつ人気職種と言われています。
イギリスではスキル重視?
イギリスでは、日本のように看護師の国家試験はありません。その代わり、専門機関での厳しい教育や実習を経て「登録看護師」になると、看護師として仕事ができます。
一度看護師資格をとれば続けて働ける日本と違い、イギリスでは3年ごとに登録の更新が必要です。
つまり、常に実践を積み、最新の技術や知識が求められるのがイギリスの看護師なのです。
イギリスの看護師は常にスキルアップを求められるにもかかわらず、収入はそれほど良くないようで、特に医師と看護師の収入格差が目立つようです。
待遇面では、日本よりも比較的長い休暇がとれるなど決して悪くなく、プライベートを尊重するお国柄が表れているようです。
中国では看護師の待遇が悪い?
中国では看護師不足が深刻な問題となっています。その理由には、看護師という仕事の待遇や社会的地位の低さなどがあるようです。
看護師の平均年収は、社会全体の平均年収をやや下回っています。残業や休日出勤も多く、仕事のハードさと報酬の釣り合いがとれないため離職する人も多いと言われます。
その背景には、歴史的に人の世話をする仕事を軽視するという封建的な思想があるという見方もあります。実際、医師の待遇との格差や、患者からのセクハラに悩む声もあるようです。
看護師の人手不足のため、中国では入院中も家族が患者の世話をする傾向があります。体の清拭やトイレへの付き添いをするために泊まり込む家族もいるのです。
医療のあり方とも密接な関係が
このように、国によって看護師の役割や待遇はさまざま。その国の医療の位置付けや制度、歴史的背景とも密接な関係があります。
どの国でも、看護師は命を預かる大切な仕事というのは同じ。その責任に見合った待遇が得られるのが理想ですね。
<参考>
★「米国との比較でとらえる日本の看護教育」
※PDFデータをダウンロードしてご覧ください。
https://asahi-u.repo.nii.ac.jp/index.php?action=repository_action_common_download&item_id=3373&item_no=1&attribute_id=97&file_no=2&page_id=24&block_id=37
★「イギリスにおける医師・看護師の養成と役割分担」
http://www.ipss.go.jp/syoushika/bunken/data/pdf/19455406.pdf
★「中華人民共和国の看護労働に関する政策と実態」
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/lt/rb/608/608PDF/tooyama.pdf
キーワード:看護師,登録看護師,日本,海外,役割,待遇,アメリカ,イギリス,中国,年収,人手不足