日々ストレスのかかる場面の多い看護師さんの間で、「燃え尽き症候群」が問題になっています。あなたは心当たり、ありませんか?
看護師の「燃え尽き症候群」は医師の2倍!?
「燃え尽き症候群」という言葉、聞き覚えがある方も多いのではないでしょうか。一生懸命に働いてきた人が、急に燃え尽きたように意欲を失ってしまったり、疲労感・不眠・食欲低下など健康面で不調が生じたりすることを指し、「バーンアウト・シンドローム」とも呼ばれます。
実は看護師は、燃え尽き症候群を起こしやすい職業のひとつと言われ、その危険性は一般医師の約2倍ともされています。職業病として問題にもなっている燃え尽き症候群、その原因や対策を探っていきましょう。
燃え尽き症候群チェックリスト
まずは以下の3つの項目をチェックしてみましょう。これはアメリカの社会心理学者による、燃え尽き症候群のチェックリストです。
□感情の枯渇:重苦しい気持ちになり、仕事が自分を壊していく感覚や、心身が悲鳴をあげている感覚がある
□脱人格化:患者さんや同僚に対して冷淡な態度をとったり、無感情になったりしてしまう
□達成感の減少:仕事に対する達成感を得られなくなり、自信を失ったり無力感を覚える
これらに当てはまる人は要注意。いったいなぜそのような状態になってしまうのでしょうか?
看護師の燃え尽き症候群の原因は?
看護師の燃え尽き症候群に関するある調査では、仕事の重圧や、難度の高い仕事、夜勤や対人関係などが燃え尽き症候群の要因として挙げられています。
命を預かる緊張感にさらされたり、夜勤で生活リズムが崩れたり、さまざまな医療スタッフと連携をとることで対人ストレスを抱えたり…。看護職の特徴であるそうしたストレスが蓄積されることで、看護師は燃え尽き症候群になりやすいのかもしれません。
また、多忙でなかなか患者さんとの時間がとれない罪悪感や、患者さんが亡くなる体験なども、精神的負荷の要因になると調査では指摘されています。
燃え尽き症候群の対策に必要なのは?
それでは、燃え尽き症候群を防ぐには、また、燃え尽き症候群になってしまったら、どうすればよいのでしょうか。まずは休息が第一ですが、精神面にはこのようなことが役立ちそうです。
◎「看護職アイデンティティ」をもつ
「看護職アイデンティティ」とは、仕事への誇りをもったり、患者さんに必要とされていると実感したりすることで、自分なりの仕事の価値を持つこと。調査では、この看護職アイデンティティが確立されているほど、燃え尽き症候群の要因が低いとされています。自分にとって仕事とは? を少し整理することで、ストレスは軽減できるかもしれません。
◎相談できる相手をもつ
調査では、未婚者より既婚者のほうが燃え尽き症候群の要因が低いという結果が出ており、これは話し相手がいることで良い影響を与えているのでは、と結論づけています。いずれにせよ、自分の状況を誰かに話すだけで精神的負荷は減らせるもの。友人や家族、カウンセラーなどにまずは話を聞いてもらうことが大切です。
◎趣味の時間をもつ
忙しい毎日で趣味の時間なんてとれない! という方も多いかもしれませんが、調査では趣味活動のある人のほうが、燃え尽き症候群の要因が低いとされています。趣味をもつのも心身の健康維持の一環と考え、仕事から離れる時間を作ることも必要でしょう。
燃え尽き症候群かも? と感じたら、まずは休養し、自分の状態をなるべく客観視して頑張りすぎないことが大切。心身を大事にしながら看護職を続けていきたいですね。
参考:鹿児島大学医学部 本村 良美,八代 利香「看護師のバーンアウトに関連する要因」
http://www.jsomt.jp/journal/pdf/058030120.pdf