医療の現場で、高齢者や障害のある方などと接するなかで、福祉の仕事に興味をもつ看護師さんもいるようです。今回は、福祉の仕事に幅広く携わる「社会福祉士」について見てみましょう。
社会福祉士の仕事とは?
社会福祉士とは、福祉の現場において、高齢者や障害者・子どもなど、日常生活に支障がある人たちの支援を行う仕事で、その役割は多岐にわたります。
具体的には、特別養護老人ホームなどの高齢者施設や、障害者福祉施設、児童相談所、母子支援施設、病院などで業務を行います。
実際は「社会福祉士になる」というよりは、「社会福祉士という資格を生かした仕事に就く」というイメージのほうが近くなります。社会福祉士という名前でなく、「生活相談員」「ソーシャルワーカー」「ケースワーカー」などの名前で働いている人が多いようです。
●生活相談員とは…
おもに老人介護施設において、利用者や家族との面談、契約業務などに携わります。場合によっては、施設の運営や介護業務に関わることもあります。
●ソーシャルワーカーとは…
広い意味で福祉関連の相談業務に携わる仕事です。医療施設で相談業務を行う場合は医療ソーシャルワーカーと呼ばれます。
また、福祉事務所など行政機関で働く場合はケースワーカーと呼ばれ、生活面でさまざまな支障を持つ住民の相談業務に携わります。ケースワーカーが担当する相談内容は、生活保護、介護、不登校などさまざまです。
仕事の呼び名の線引き自体はあいまいな部分が多いので、実際に転職する場合は、勤める職場や仕事内容をしっかり確認しましょう。
社会福祉士の資格をとるには?
高齢化社会が進んでいくなかで、今後は社会福祉士の介護現場での活躍がより望まれると予想されます。看護師の経験を積むうちに、高齢の方の支援業務に関心が生まれたという人も多いでしょう。
では、社会福祉士の資格をとるには、どうすればよいのでしょう?
社会福祉士になるには、社会福祉士の国家試験に合格する必要があります。
その受験資格を得るには、以下の4つの方法があります。
1.福祉系の4年制大学で所定の課程を修了する
2.福祉系の短大で所定の課程を修了し、実務を1~2年経験する
3.一般の4年制大学を卒業し、養成施設に1年以上通学する
4.一般の短大を卒業し、実務を1~2年経験し、さらに養成施設に1年以上通学する
つまり、4年制の看護大学を卒業している看護師であれば、上記の3.にあたるので、養成施設に1年以上通学する必要があります。
3年制の看護学校を卒業した場合は上記の4.にあたり、相談実務を1~2年経験したうえで、養成施設に入学することができます。
社会福祉士の働き方・休日は?
ワークライフバランスを考えたうえで社会福祉士への転職を検討している人にとっては、休日や勤務時間も気になるところですよね。
どんな職場で働くかにもよりますが、土日休みの福祉事務所や行政機関で働く場合は休日もそれに準じることが多く、勤務時間も8時~17時、9時~18時などになります。
ただ、介護施設や土日も開所している事業所に勤めたり、シフト制で勤める場合は、必ずしも土日休みとはなりません。一般の人が休日である土日に業務が多くなる場合や、相談内容によっては長時間の残業や突然の対応が必要になる場合もあるようです。
社会福祉士の給与は?
自治体の福祉事務所、児童相談所などに公務員として採用された場合は、公務員給与の規定に準じた収入を得ることができるので、安定性が魅力となります。
民間の施設に勤務する場合は、地域や施設によりさまざまではありますが、その地域の公共機関の給与と同程度となることが多いようです。
場合によっては、社会福祉士の資格手当が上乗せされることもあるようですが、夜勤の多い看護師の給与と比べると必ずしも年収アップといかない場合もあるでしょう。
ただ、困っている人の相談役として、相手が自立できたり、相手の喜んだ顔を見られたときの喜びはひとしお。看護師としては医療面でしか支えられなかったことも、社会福祉士として多角的にサポートできるのもやりがいにつながるでしょう。
参考:「Career Garden」http://careergarden.jp/shakaifukushishi/work/