キャリアアップしたい看護師さんに人気の「認定看護師」。興味はあるけど、21種類もある分野の中からどれを選んだらいいのか迷ってしまう看護師さんも多いようです。
認定看護師にはどんな種類があるの?
認定看護師には現在以下21種類もの分野があります。これだけ細分化されているのは、各分野でのエキスパートが必要とされているということ。まずはどのような分野があるか知っておきましょう。
●救急看護
・救急医療現場における病態に応じた迅速な救命技術、トリアージの実施
・災害時における急性期の医療ニーズに対するケア
・危機状況にある患者・家族への早期的介入および支援
●皮膚・排泄ケア
・褥瘡などの創傷管理およびストーマ、失禁等の排泄管理
・患者・家族の自己管理およびセルフケア支援
●集中ケア
・生命の危機状態にある患者の病態変化を予測した重篤化の予防
・廃用症候群などの二次的合併症の予防および回復のための早期リハビリテーションの実施
●緩和ケア
・疼痛、呼吸困難、全身倦怠感、浮腫などの苦痛症状の緩和
・患者・家族への喪失と悲嘆のケア
●がん化学療法看護
・がん化学療法薬の安全な取り扱いと適切な投与管理
・副作用症状の緩和およびセルフケア支援
●がん性疼痛看護
・痛みの総合的な評価と個別的ケア
・薬剤の適切な使用および疼痛緩和
●訪問看護
・在宅療養者の主体性を尊重したセルフケア支援およびケースマネジメント看護技術の提供と管理
●感染管理
・医療関連感染サーベイランスの実践
・各施設の状況の評価と感染予防・管理システムの構築
●糖尿病看護
・血糖パターンマネジメント、フットケアなどの疾病管理および療養生活支援
●不妊症看護
・生殖医療を受けるカップルへの必要な情報提供および自己決定の支援
●新生児集中ケア
・ハイリスク新生児の病態変化を予測した重篤化の予防
・生理学的安定と発育促進のためのケアおよび親子関係形成のための支援
●透析看護
・安全かつ安楽な透析治療の管理
・長期療養生活におけるセルフケア支援および自己決定の支援
●手術看護
・手術侵襲を最小限にし、二次的合併症を予防するための安全管理
(体温・体位管理、手術機材・機器の適切な管理等)
・周手術期(術前・中・後)における継続看護の実践
●乳がん看護
・集学的治療を受ける患者のセルフケアおよび自己決定の支援
・ボディイメージの変容による心理・社会的問題に対する支援
●摂食・嚥下障害看護
・摂食・嚥下機能の評価および誤嚥性肺炎、窒息、栄養低下、脱水の予防
・適切かつ安全な摂食・嚥下訓練の選択および実施
●小児救急看護
・救急時の子どもの病態に応じた迅速な救命技術、トリアージの実施
・育児不安、虐待への対応と子どもと親の権利擁護
●認知症看護
・認知症の各期に応じた療養環境の調整およびケア体制の構築
・行動心理症状の緩和・予防
●脳卒中リハビリテーション看護
・脳卒中患者の重篤化を予防するためのモニタリングとケア
・活動性維持・促進のための早期リハビリテーション
・急性期・回復期・維持期における生活再構築のための機能回復支援
●がん放射線療法看護
・がん放射線治療に伴う副作用症状の予防、緩和およびセルフケア支援
・安全・安楽な治療環境の提供
●慢性呼吸器疾患看護
・安定期、増悪期、終末期の各病期に応じた呼吸器機能の評価及び呼吸管理
・呼吸機能維持・向上のための呼吸リハビリテーションの実施
・急性増悪予防のためのセルフケア支援
●慢性心不全看護
・安定期、憎悪期、終末期の各病期に応じた生活調整及びセルフケア支援
・心不全憎悪因子の評価およびモニタリング
★参考 日本看護協会 認定看護分野一覧(2016年1月)
http://nintei.nurse.or.jp/nursing/qualification/cn
自分に合う分野はどうやって決める?
認定看護師をめざすきっかけとしては、「上司に勧められて」「キャリアアップのため」「もっと深い知識や技術を学びたい」など人それぞれだと思いますが、大切なのは「どの分野に興味や関心があるか」「どの分野の専門性を高めたいか」ということ。この先、活躍したいと思える分野を選ぶのが一番いいでしょう。もし、特別に興味のある分野がない場合は今まで勤務してきた分野から選ぶのが一般的です。というのも、認定看護師資格を受験するには、『看護師免許取得後、実務研修が通算5年以上あること(うち3年以上は認定看護分野の実務研修であること)』という規定があります。もし、興味のある分野での実務経験が足りない場合は、上司などへ相談し、その分野への配属を希望する必要があります。
また、病院側ではどの分野の認定看護師をより多く必要としているのでしょうか。2015年に実施された日本看護協会の調査によると、病院側が配置したいと望む認定看護師は、上位5分野は「認知症看護」「感染管理」「摂食・嚥下障害看護」「皮膚・排泄ケア」「糖尿病看護」となっています。もし、どの分野を選ぶか迷ったときには参考にしてもいいかもしれません。
★看護管理者が今後新たに配置したい(または配置を増やしたい)と
回答した認定看護師(複数回答)上位5分野(n=3,392)
1.認知症看護・・・・・・・35.2%
2.感染管理・・・・・・・・34.7%
3.摂食・嚥下障害看護・・・33.0%
4.皮膚・排泄ケア・・・・・27.9%
5.糖尿病看護・・・・・・・24.1%
★参考 日本看護協会
http://www.nurse.or.jp/up_pdf/20150812120420_f.pdf
まとめ
認定看護師の数は徐々に増え、現在では看護のエキスパートとして欠かせない存在になってきています。認定看護師になるには時間や費用、努力が必要ですし、資格が取れたからといってすぐに待遇がアップするとは限りません。しかし、看護師としての成長には必ず役立つはず。21種類の分野から自分にあった分野をみつけて、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。