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保育士の給与はなぜ他の業種に比べて低いのか?

子どもにとって大切な時期に、大きな役割を果たす保育士。それにも関わらず、保育士の低収入が問題となっています。その原因を探ってみましょう。

保育士の月収は他業種より10万低い?

働くママ・パパの強い味方である保育園。そこで働く保育士は、子どもたちの命を預かる大切な仕事であるにも関わらず、給与が低いことが問題となっています。

2017年の厚生労働省の調査では、保育士の平均月収は22万9,900円で、全産業の平均とは10万以上の差がありました。

月収が20万に届かない保育士も多く、なかには勤続20年のベテランになってようやく手取りが20万を越えたという人もいるようです。

なぜ保育士の給与はそんなに低いのでしょうか? その理由を見ていきましょう。

理由① 保育園の運営費が少ない

保育士の給与は、保育園の運営費からまかなわれます。
保育園の運営費はどこから出るかというと、私立か公立かにより異なります。

公立の保育園は自治体が運営するため、保育士の給与も自治体から比較的安定した金額が支払われます。
しかし、公立保育園は民営化などで年々減り続けており、公立の保育士になるのは狭き門となっています。

私立の保育園の場合、認可保育園では運営費は「国からの補助金」と「保護者からの保育料」で成り立っています。

無認可保育園には補助金が下りず、保護者からの保育料のみで運営費がまかなわれます。

保護者からの保育料は、これも国が決めた「公定価格」によって算出されます。
公定価格は、家庭ごとの年収や子どもの年齢などにより設定されています。

この公定価格や補助金は、子どもが保育できる最低のラインを基準としており、保育園はその限られた運営費から保育士の給与を支払うため、おのずと保育士の給与水準も低くなってしまうのです。

公定価格や補助金の引き上げは国の予算に関わってくるため、容易に改善ができず今に至っているというわけです。

理由② 昇給の機会が少ない

保育士は他の仕事に比べ、昇格・昇給の少ない職種とも言われています。

保育園には役職の種類が少ないことがその理由のひとつ。役職と言えば園長、副園長、主任ぐらいという保育園も多いようです。

主任クラスになるには長年のキャリアが必要ですが、その前に結婚や出産を機に離職したり、待遇の悪さから退職する保育士も多いのです。

この問題については、内閣府による2017年の保育士の処遇改善施策のなかで、副主任やリーダーといった役職を増やすという解決案が出されました。

これが今後、保育士の給与にどのような変化をもたらすかが注目されています。

理由③ 昔からの慣習

保育士さんにとって気分のよくない話ではありますが、昔、保育士の仕事が誕生した当初は、その仕事は専門性や重要性が低いものという偏見がありました。

今よりも保育園が一般的になる以前、日本では子どもは母親が世話をするか、共働きの場合は祖父母や近所の人などに預けることがほとんどでした。そんななか保育園の質も今ほど高くはなく、現在のような専門的な保育の概念もまだ発達していませんでした。

そのため保育士の仕事の重要性は低いとされ、給与水準も低く設定されていました。
その後、保育の質は向上するなか、給与はそのままでも保育士の数は増え続けたため、今なお低収入の現状があると言われています。

保育士は重要性の高い仕事

このような背景により、保育士の給与は上がりづらい現状が続いているのです。

保育士の仕事は、子どもの乳幼児期という大事な時期に関わる、大きな責任を伴う仕事。それだけでなく、子どものパワーに対応する体力も必要な上に、保護者とのコミュニケーションも求められる、とても重要な仕事です。

子どもが保育園で幸せな時間を過ごせたことを保育士さんに感謝しているママ・パパも多いはず。
保育士の待遇が、今より少しでも改善されることを望みたいですね。

<参考>
★技能・経験に応じた保育士等の処遇改善について(内閣府)
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/law/kodomo3houan/pdf/h290427/about.pdf

★なぜ低い? 保育士の給料(朝日新聞デジタル)
https://www.asahi.com/sp/articles/ASL4V4D7RL4VUTFK015.html

キーワード:保育士、月収、低収入、給与、子ども、保育園、運営費、昇給、役職、慣習、待遇、キャリア、重要性

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