臓器提供を通じて、命を救い、命をつないでいく「移植コーディネーター」。その仕事内容や、やりがいについて見てみましょう。
そもそも臓器移植とは?
心臓や腎臓など、大切な臓器が病気や事故で機能しなくなった場合、「臓器移植」により命が救われる場合があります。
その臓器移植にあたり、無くてはならない仕事が「移植コーディネーター」です。
そもそも臓器移植とは、どんなふうに行われるのでしょう?
臓器提供の意思のある人は「ドナー」、臓器を必要とする患者さんは「レシピエント」と呼ばれます。
臓器移植には、脳死または心停止したドナーからの臓器を移植する「脳死移植」「心停止移植」と、健康なドナーの臓器の一部を移植する「生体移植」があります。
それらの移植の流れで、ドナーとレシピエントの橋渡し役となるのが移植コーディネーターです。
移植コーディネーターの仕事内容とは
移植コーディネーターには2種類あり、臓器提供者とその家族に対応する「ドナーコーディネーター」と、移植を受ける患者さんとその家族に対応する「レシピエントコーディネーター」がいます。
●ドナーコーディネーターの仕事
ドナーが脳死や心停止になったり、ドナーの家族から臓器提供についての説明の希望があった場合、すぐに向かい、家族への説明や意思の確認を行います。
臓器提供の意思が確認できたら、病院と連携して検査の手配などを行い、臓器提供の手はずを整えます。
臓器の摘出手術に立ち会ったり、摘出された臓器を大切に運搬することも仕事のひとつです。
●レシピエントコーディネーターの仕事
レシピエントとその家族へ臓器移植についての説明を行ったり、移植前のレシピエントの体調管理などを支援します。
移植が決まった際には、看護師への情報提供などを行い、チーム医療における各スタッフの調整役となります。移植手術の後は、退院後のレシピエントの健康管理も行います。
この他に、どちらのコーディネーターも、書類の作成やデータ管理、各方面への連絡作業など、意外にデスクワークも多いようです。
移植コーディネーターになるには?
移植コーディネーターになるための試験や研修は、日本臓器移植ネットワークという公益社団法人が不定期に行っています。
日本臓器移植ネットワークのホームページに応募情報が載るため、気になる方はこまめにチェックしてみるとよいでしょう。
移植コーディネーターの募集要項では、応募条件として、医療分野での実務経験(医師、看護師、薬剤師など)が掲げられています。
医療分野の経験がない場合は、「臓器移植コーディネーター候補者」への応募が可能なようです。この場合、入職後に研修、試験を経て、移植コーディネーターになることができます。
また、どちらも普通自動車運転免許の保有が条件として求められています。移植コーディネーターは深夜に召集されることもあるため、運転免許は必須となるようです。
選考や試験に合格すると、臓器移植ネットワークに所属する職員として活動するか、そこから委嘱を受け、病院などに所属して働く形となります。
移植コーディネーターは命をつなぐ大切な仕事
移植コーディネーターは、患者さんの生死に関わる場面で、本人やその家族に寄り添う大切な仕事。
脳死や心停止の場合は、ドナーの家族が悲しみと葛藤にさいなまれる中、コーディネーターのケアはとても重要となります。
移植のタイミングは急に訪れることも多く、病院に駆けつけ泊まり込みになることも。肉体面でもタフさが求められるでしょう。
しかし、臓器の提供により尊い命を救うことができ、またドナーの家族にとっても、臓器が誰かの中で生き続けるという希望になります。
そんな臓器移植に携わる移植コーディネーター、誰かの役に立ちたいという思いのある人には適職かもしれません。
★参考
「公益社団法人 日本臓器移植ネットワーク」https://www.jotnw.or.jp/d-coordinator/
「Career Garden」http://careergarden.jp/ishoku-coordinator/