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<アジア諸国レポート Vol.3>
比・ダバオのミンダナオ国際大で卒業式
八木学園は小学校・終業式

これまで、本誌上でも何度か紹介した、フィリピン・ダバオ市にある日系のミンダナオ国際大学(MKD)と八木学園の卒業式(終業式)が3月末に行われました。
以前はダバオやMKDを紹介するのに、南部のミンダナオ島に位置していることや、かつて日本人街があったことなどを付け加えるのが常でした。それが昨年夏のロドリゴ・ドゥテルテ大統領の誕生以来、だいぶ知られるようになってきました。そして今では、MKDや八木学園の活動を支援している日本人フィリピンボランティア協会(JPVA)や日系人会にも、留学の問い合わせが来るようにもなってきています。


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フィリピン国歌を斉唱するMKD卒業生

八木学園:初の小学校・卒業式(終業式)

まず、3月30日に開かれたのが、八木学園の卒業式兼終業式です。
終業式を兼ねた、ということについては少し説明が必要です。以前にも紹介しましたが、フィリピンでは2011年から7年かけて教育制度の改革が行われてきました。これまでは、日本などの6・3・3・4制と異なり、6・4・4制でした。小学校6年、中等学校4年のあと、いきなり大学4年という制度になっていて、大学卒業時20歳と、国際標準の22歳より短くなっていました。この度、中等学校の後にシニアハイスクール2年を設けることで、他国と足並みが揃うようになりました。もっとも、制度上は1年から通して12年生という義務教育の枠ができましたので、小学校6年生の卒業生は、次は中等学校(ジュニア・ハイスクール)の1年生である一方、制度上は7年生ということで、6年生は厳密には卒業というより小学部門の終業ということになるわけです。


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八木学園、小学校6年生の卒業式兼終業式。最前列左からロシータ校長、八木代表

 
この卒業式兼終業式はまた、八木学園にとって第1回の小学校卒業式ということになりました。この日、卒業し、7年生に進級した生徒は18名(男11、女7)で、創立者の八木眞澄代表、ロシータ校長にとっても、とりわけ記念すべき式典になりました。
2005年、わずか8名の幼稚園からスタートして12年。今では、進級する6年生のほか1~5年生の在校生110名を擁する学校になりました。「手探りでスタートしてから、あっという間に、もう12年も経ちました。年々歳はとりますが、新しい子供達を迎えることで、また新たな課題が出てきたり、発見があったりで、むしろ若返っている気持ちです。もう少し、12年生の卒業式を迎えるくらいまでは見守っていきたいですね。」と語るのは八木代表です。


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在校生(2,3年生)による演奏

ミンダナオ国際大:第12回目の卒業生は83名

八木学園に続いて、3月31日に開かれたのが、MKDの卒業式。こちらの卒業式は第12回目。入学時から4年後の卒業までたどり着ける学生は、以前は約3割と日本などに比べると圧倒的に少ない割合でした。その最大の理由が、経済的困窮です。今もこの構図は変わりませんが、奨学金制度、里親支援といったサポートに加えて、以前に比べればフィリピン経済が上向いてきていることもあり、今年は56%(入学時147名、卒業時83名)と、大きく改善しました。ちなみに卒業生83名の男女比は男17名、女66名と、こちらの比率はあまり変わりません。


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祝辞を述べるマリャリ・イネスMKD学長(兼フィリピン日系人連合会会長)

 
MKDには現在5学科(国際、福祉、企業家育成、教育、心理)あります。いずれの学科も日本語教育に力を入れていることもあり、日本語検定でもN1・3名、N2・6名、N3・13名など、83名中66名がN5以上を獲得しました。また、なかには不登校、引きこもり、はては家庭内暴力などで、日本にいた時にはほとんど満足に通学出来なかったという学生もいましたが、支援者やダバオでの学生生活で得た友人らの支援で、今春、MKDを卒業したという学生もいます。彼はここでの経験や知識を生かすべく、卒業後もダバオに残って活動するとしています。
網代正孝MKD名誉学長と、昨年他界された内田達男氏(元JPVA名誉顧問)によって、2002年に海外唯一の日系大学として創立されたMKDは、今年83名の卒業生を送り出すと共に、創立15周年を迎えました。
 
 

著者・経歴
株式会社ハートシステム 代表取締役
研修セミナー講師・ジャーナリスト他
坂内 正