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働き方改革で医療業界はどうなる?

各業界で進む「働き方改革」、医療業界の現状はどうなっているのでしょうか?

働き方改革とは?

現在、政府の進める「働き方改革」が各業界のテーマとなっています。
 
働き方改革とは、少子高齢化により働き手が少なくなることを懸念した政府が進める政策。
個人のライフスタイルにあわせて、どんな人でも柔軟に働きやすい社会を目指したものです。
 
具体的には、残業時間を短縮したり、勤務時間を柔軟に変えたり、在宅ワークを推進するなど、働き手にとってはこれまでよりもライフ・ワーク・バランスを重視した取り組みになっています。

医療業界は改革が難しい?

医療業界においても、働き方改革は重要な課題です。
医師や看護師の長時間労働や人手不足はなかなか解消しない上に、今後高齢化に伴い、患者数はますます増えることが予想されるためです。
 
しかし、医療業界では改革がなかなか進みにくいのが現状のようです。
それはなぜでしょうか?
 
まず、現在の日本では、医師には「応召義務」があります。
これは、医師法第19条で「診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」とされるもの。
つまり、たとえ時間外でも患者がいるなら診療しないといけない…と解釈されるものです。
 
命を扱う「聖職」とされる医師の仕事は、休日を返上したり勤務時間を超過することも日常茶飯事。
実際、医師たちの中には「応召義務がある限り、働き方改革は進まない」と思っている人もいるようです。

人手不足と患者数の多さが問題

また、応召義務の有無にかかわらず、医師になったからには少しでも多くの患者さんを診たいし、多くの研究や症例から学びたいという思いを持つ医師が大勢います。
 
実際に患者数が多いため、医師の多くは自分の労働環境については後回しにせざるを得ないのが現状。
さらに医療スタッフは人手不足のため、看護師も時間外労働が増えてしまい、医師や看護師ともに体調を崩してしまう人も少なくありません。
 
しかしスタッフや患者の数はそのままに、スタッフ側の労働時間を短くしようとすれば医療の質の低下につながるため、現実的にはなかなか働き方改革が進みにくいのです。

医療業界の改革を進めるには?

では、医療業界の働き方改革にはどんなことが必要なのでしょうか。
 
まずは現在、「医療クラーク」の必要性が高まりつつあります。
医療クラークとは、医師の指示のもと診断書や診療記録を作成したり、データの管理、研修の準備など医師の補助をする仕事です。
 
医師は診療以外のこうした作業に時間をとられているのが現状のため、今後は医療クラークを増員することにより、医師の業務量を減らすことが望まれています。
 
また、これからはAI(人工知能)の活躍も期待されています。
簡易な問診などは病院に行かずともAIが対応できるようになれば、医療スタッフの業務軽減につながります。
さらに細胞診や腫瘍の検出など、時間のかかる検査もAIの精度が上がれば瞬時に行うことが期待できます。
 
そして、医師不足、看護師不足の解消のために最も重要なのが、労働環境の改善。
現在、多くの病院で残業時間や夜勤体制が見直されたり、日本看護協会から「看護師の働き方改革」が提言されるなど、働きやすい環境への取り組みが行われています。

患者側の意識改革も必要

医療業界の働き方改革を進めるには、患者側の意識改革も必要です。
 
日本では健康保険での医療費負担制度があるため、病気になっても気軽に病院にかかりやすい風潮があります。しかし、病気を未然に防ぐ意識を高めることにより、患者数の増加に歯止めをかけることができるでしょう。
 
必要な人に必要な医療サービスを届けるためにも、医療業界の働き方改革は重要なテーマ。ぜひ今後の進展に期待したいですね。

 
(参考)
◎看護師の働き方改革の推進(日本看護協会)

https://www.nurse.or.jp/nursing/shuroanzen/index.html
 
◎医師の働き方改革、どう進める?
https://www.asahi.com/sp/articles/SDI201804217312.html