子育て

愛着障害の世代連鎖と貧困

最近よく耳にする「愛着障害」。あなた自身や身近な人にも関係があるかもしれません。いったいどのようなものなのでしょう?

愛着障害とは?

「愛着障害」という言葉をご存じでしょうか?
子育てについて語るとき、話題にのぼることの多い愛着障害。これは、保護者との安定した関係が作れないことにより、子どもの精神面や対人関係に問題が生じることを言います。
 
人は子どもの頃にしっかり親からお世話をしてもらうことで、親との強い結びつき=「愛着」を得ることができ、人格形成の基盤となる安心感を与えられます。
 
しかし、虐待やネグレクトを受けたり、親からの愛情を感じにくかった子どもはそうしたものが得られず、結果として人間関係がうまく築けないなど、人生に支障をきたしてしまうのです。

愛着障害の特徴としては、以下のようなことが挙げられます。

●人への警戒心が強く、攻撃的になりやすい

●人を信頼できず、裏切りを恐れて心を開けない

●逆に、知らない人にも過剰にベタベタするなど不自然な行動をとる

●落ち着きがなく、乱暴・強情・わがままな性格が見られる

●大人になっても恋人や友人を過剰に束縛する

●自分に価値がないと思い込み、自己肯定感が低い

●自分のよりどころや存在意義が感じられず、依存症になりやすい
 
愛着障害は成長してからの人生にも影響を与え、大人になっても人間関係が苦手で生きづらくなることが多いのです。

貧困家庭と愛着障害の関係

この愛着障害は、貧困問題とも関わりがあります。
 
愛着障害は心理的な影響によるものなので、決して〝貧しい家庭の子どもは愛着障害になりやすい〟ということではありません。
 
ただ、経済的にひっ迫した状況が、精神的にも肉体的にも親の余裕を奪い、その不安定さがネグレクトや虐待につながるケースがあるのもまた事実です。
 
また、離婚してひとり親となったり、親が病気で働けなかったり、特段の理由もないのにまともに働かないなど、経済的な事情から実の親では満足な養育ができない家庭は多々あります。
 
そんな中、不特定の大人の間をたらい回しにされたり、しっかり自分と愛着関係を結んでくれる養育者がいなかった場合も、愛着障害につながりやすいと考えられています。

愛着障害の世代間連鎖とは

さらに、愛着障害は親子の世代間で連鎖しやすいことも問題です。
 
愛着障害を抱えたまま大人になると、最も悪影響を受けるのは結婚生活・家庭生活であるとも言われています。
人を信頼できない、人に頼られたくない、逆に依存しすぎるといった傾向をもつのが愛着障害の特徴。
そのため配偶者や子どもとの関係をうまく築けず、離婚してしまったり、自分も子どもを虐待してしまったり、子どもとどう向き合ってよいか分からずネグレクトにつながる…という負の連鎖を生みやすいのです。
 
自分が親から受けた傷を認識しながら、無意識に親と同じことをしてしまい、自分でもどうしたらいいか分からず悩む人も少なくありません。

愛着障害の連鎖を止めるために

そんな愛着障害には克服方法はあるのでしょうか。

現在、心理学の専門家などさまざまな人が愛着障害の克服法を提言しています。その中でよく言われているのは、このようなことです。

●子どもの場合

愛着障害をもつ子どもに対しては、「安全基地」を作り愛着関係を作り直してあげることが必要です。
 
安全基地とは、自分を守って受け入れてくれる、よりどころになるような存在のこと。
親が充分な養育ができない場合はカウンセリングを行ったり、専門家が介入して安全基地となってあげるなど、愛着関係を再構築することが重要になります。

●大人の場合

愛着障害を抱えたまま大人になった場合も、パートナーなどと愛着関係を結び直すことで克服が望めます。
子どもの頃に得られなかった愛情深いスキンシップやコミュニケーションを身近な人から得たり、親との関係を修復し直すことで愛着障害を打破した人もいます。
 
また、仕事やボランティアなど「自分の役割」を設定し、それを達成することで自分のよりどころを作るというのも克服法のひとつです。
 
対人関係や精神状態など、人生の土台となる面に大きな影響を与える愛着障害。心当たりのある人も、まずはそれを受け止め見つめ直してみることが大切です。
 
(参考)
◎愛着障害とは?(りたりこ発達ナビ)

https://h-navi.jp/column/article/35026098
 
◎子どもの〝愛着障害〟(DoctorsMe)
https://up-to-you.me/article/4378