日本各地、さまざまな場所で起こる災害。混乱する被災地では、「災害支援ナース」と呼ばれる看護師が活躍しています。あなたもその一員として活動してみませんか?
災害支援ナースとは?
地震多発国である日本ではさまざまな地域で震災が起こり、被害にあう人が後を絶ちません。また地震だけでなく、豪雨や噴火などの自然災害も毎年のように各地で起こっています。
そんなとき、苦しんでいる被災者のために何か自分も役に立ちたい…そう考える看護師さんは多いことでしょう。「災害支援ナース」は、そんな看護師さんにぜひ知っていただきたい制度です。
災害支援ナースは、災害時に被災地で看護活動を行うナースのことを言います。都道府県の看護協会に登録したうえで被災地に派遣され、現地で適切な医療・看護を提供して被災者を助ける役割があります。
災害支援ナースの制度は、1995年の阪神淡路大震災をきっかけとして、日本看護協会により作られました。これまでに、新潟県中越地震、能登半島地震、東日本大震災を始め、日本各地の災害時に看護師が派遣されてきました。
災害支援ナースの具体的な仕事
災害支援ナースの具体的な役割としては、まず災害発生直後は、ケガを負った被災者の救助と手当が挙げられます。災害時は、被災者が病院にあふれて混乱状態となるため、治療の優先順位をつける「トリアージ」も大切な仕事のひとつです。
また、避難所での生活は心身ともにストレスがかかり、服薬の習慣が継続できずに持病が悪化したり、病気を発症する人が多いものです。そんな避難所生活のなかで、被災者の健康状態を保つケアや感染症予防をするのも災害支援ナースの役割です。
さらに、被災地では自分自身が被災者である看護師が、現地で看護活動を行わなければならず、大きなストレスを受けていることもあります。災害支援ナースが派遣されることにより、そういった現地のナースの負担を軽減することも期待できます。
災害支援ナースになるには
災害支援ナースになるには、各都道府県の看護協会に登録する必要があります。登録のためには、以下のことが要件となります。
・都道府県看護協会の会員であること
・実務経験年数が5年以上であること
・所属施設がある場合は、所属長の承諾があること
・災害支援ナース養成のための研修を受講していること
災害支援ナースとして活動するには、看護協会が主催する研修を受ける必要があります。研修は通常2日間行われ、災害医療や実際の支援活動について講義が行われます。
実際に災害が発生したら…
それでは実際に災害が発生したら、災害支援ナースはどのように派遣されるのでしょう。
災害発生時は、看護協会が派遣調整を行ったうえで登録ナースに連絡が入り、ナースが被災地へ派遣されることになります。災害発生から早くて3日後には現地へ派遣されることもあります。
派遣期間は原則3泊4日となり、交通費や宿泊費は1人2万円までを上限として看護協会から実費が払われますが、アルバイトのような給与は発生しません。
注意しなければいけないのは、災害支援ナースが派遣される際は、「自己完結」が基本になります。つまり、自分の飲食物や宿泊は自分で用意しなければなりません。
被災地では飲食物や避難スペースが限られているので、災害派遣ナースがそれらを分けてもらってしまっては、かえって足手まといになります。持ち物に関しては看護協会が準備してくれるものもありますが、それも基本的には足りないものは自分で用意していくようにしましょう。
まとめ
被災地では想像以上にショックな状況を目の当たりにしたり、避難所といった特殊な環境で活動するなかで、心身ともにタフさが求められます。
しかし、東日本大震災をきっかけに、災害支援ナースの登録数は約4800人から約7000人*に増加し、多くのナースが災害時に活躍しています。
過酷な状況にある被災者のために、少しでも役に立ちたい思いのある人は、ぜひ登録してみてはいかがでしょうか。
<参考>
公益社団法人 日本看護協会
https://www.nurse.or.jp/nursing/practice/saigai/index.html
*https://www.nurse.or.jp/nursing/practice/reconstruction/shiennurse/index.html