人生にとってかけがえのないコミュニケーションを支える素敵な仕事、言語聴覚士。どんな仕事でしょうか?
言語聴覚士とは?
言語聴覚士は、いわば「話す・聞く・食べる」のスペシャリスト。
話すことや聞くこと、食べることが困難になった人のために、リハビリテーションを行う仕事です。
英語では Speech-Language-Hearing-Therapist となるため、略して「ST」と呼ばれたり、言語療法士と呼ばれることもあります。
うまく話せない、話が理解できない、文字が読めないといった「言語障害」、音が聞きとれない、言葉を認識できないといった「聴覚障害」、声が出にくくなる「音声障害」などをもつ患者さんのリハビリを行います。
また、ものを上手に噛めない、飲み込めないといった「嚥下(えんげ)障害」のリハビリも言語聴覚士の仕事です。
こうした障害の原因は、脳卒中・脳梗塞などの病気や、生まれつきの疾患、加齢、事故、そして心因性のものなど、多岐にわたります。
言語聴覚士は、それらの原因を探り、ひとりひとりに合った対処法を見いだすために検査などを行い、リハビリのプログラムを考えて実施します。
どんなリハビリを行うの?
では、言語聴覚士が行うリハビリは、具体的にどんなものなのでしょう?
話すことについては、絵や文字を見て発音したり、言語聴覚士の言うことを復唱したり、自分の発した言葉を聞き直したりします。
子どもの言葉の遅れについては、絵本を見せて言葉を引き出すなどのリハビリを行います。
聞くことについては、質問と返答を繰り返すなどの訓練をします。
言葉を聞けても意味が認識できない場合は、ジェスチャーや写真などを使って意味の認識を促します。
また、人工内耳という装置の調整をするのも仕事のひとつです。
ものを食べることについては、実際に食材を使って、ものを咀嚼したり飲み込んだりする訓練を行います。
食事をしやすくするための道具を使ったり、それをうまく使うための指導を行うこともあります。
言語聴覚士になるには?
言語聴覚士になるには、国家試験に合格し、資格を取得する必要があります。
国家試験を受けるには、下記のルートがあります。
・高卒者は、文部科学大臣が指定する3〜4年制の大学・短大、または都道府県知事が指定する3〜4年制の養成所を卒業すると受験資格が得られます。
・一般の4年制大学の卒業者は、指定された大学・大学院の専攻科、または2年制の専修学校を卒業すると受験資格が得られます。
言語聴覚士の国家試験は年に一回、2月の中旬に行われています。
試験内容は、基礎医学から始まり、音声・言語・聴覚医学、心理学など広範囲におよびます。平成30年に実施された試験の合格率は79.3%となっています。
コミュニケーションを支える大事な仕事
言語聴覚士は、病院だけでなく、福祉センターや介護施設、特別支援学校など、幅広い職場で活躍しています。
話す・聞く・食べるといった行為は、日常生活の基礎になるだけでなく、人間にとって大切なコミュニケーションを豊かにしてくれる、かけがえのないもの。
言葉をかわしたり、食事を楽しんだりすることの喜びや、人とのふれあい、安らぎ、生きていく自信など、人生において大切なものを得てもらうための支えとなれる、とても素敵な仕事です。
興味を持った人は、ぜひ言語聴覚士をめざしてみてはいかがでしょう。
<参考>
★一般社団法人 日本言語聴覚士協会
https://www.japanslht.or.jp/what/
★めざせ!ST
http://mezase-st.com/works/
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