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1都3県、それぞれの医療・介護・福祉の取り組み情報!

首都圏を構成する東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県では、それぞれ医療や介護、福祉に関して特徴的な取り組みを行っています。どんなことを行っているのか見てみましょう。

認知症対策に力を注ぐ東京都

首都である東京は、国内でも人口がずば抜けて多く、高齢者の人口も多いのが特徴。
なかでも認知症患者が多く、東京都の認知症患者数は、全国の平均と比べてなんと約4倍にものぼるとされています。
また、一人暮らしの高齢者が多いことも東京の特徴のひとつ。認知症患者が一人暮らしの場合はケアが遅れたり不十分になる恐れがあり、地域全体での介護が課題となります。

そこで東京都では、認知症の人が安心して暮らせるための取り組みを行っています。
具体的には、「認知症疾患医療センター」という専門機関を全区市町村に配置し、地域で連携して認知症患者のケアをできる仕組みを作っています。
また、認知症の介護の質を高めるため、都内の介護職員を対象に、認知症介護研修を定期的に行っています。

さらに東京都では独自に、行方不明の高齢者の情報を共有できるサイトを運営し、認知症の人を地域で見守るシステムを整備しています。
認知症の人や家族などが集う「認知症カフェ」も地域ごとに広まっており、医療機関が関わる場合には都からの補助金が出されることもあります。

神奈川県は「未病」と「最先端医療」に着目!

日本は高齢化が進んでいますが、なかでも神奈川県は全国でも1、2を争うほど高齢化のスピードが速いと言われています。
そこで神奈川県では、「ヘルスケア・ニューフロンティア」という政策を打ち出し、超高齢化社会に向けての取り組みを行っています。

この政策では、「未病の改善」と「最先端医療・最新技術の追求」をテーマに掲げています。
「未病の改善」とは、病気になってから初めて対処するのではなく、その前の段階から健康対策をしようという考え方。
これを普及するため、2015年には「未病サミット神奈川2015」が開催され、世界に向けて未病やその予防についての情報が発信されました。以来、神奈川県では、毎年シンポジウムや展示会など、未病(ME-BYO)の改善を普及するためのイベントが開かれています。

また、神奈川県には医療関連の企業や研究所が多く集まっていることから、最先端医療にも力が注がれています。
iPS細胞など最新の研究成果の実用化を進めるために、神奈川県では医療現場と企業の橋渡し役なども行政が行っています。

埼玉県はウォーキングで医療費削減!

「医療費の削減」と「健康長寿」は全国的な課題ですが、埼玉県ではあるユニークな取り組みでこれを目指しています。その名も「コバトン健康マイレージ」。
これは、ウォーキングや健診の受診をすることでポイントを貯め、抽選で埼玉県の特産品や協賛企業の商品などがもらえるという県主体の施策です。専用の歩数計やスマホのアプリでポイントを貯めることができます。

もともと埼玉県ではウォーキング事業がさかんで、複数の市でモデル事業としてウォーキングイベントを行ったところ、医療費の抑制に成功したという実例があります。イベントを通じて県民が健康になり、医療費が減少したというわけです。
それにならい、健康寿命を延ばして医療費を抑える目的でこの取り組みは始まりました。

楽しみながら健康をめざす、こうした取り組みを県で行っているケースは珍しいと言えるでしょう。その他にも「健康長寿埼玉プロジェクト」として、各市町村で筋トレや体操などのイベントが行われています。

千葉県の「介護の未来案内人事業」とは?

介護業界では人手不足が問題となっていますが、千葉県では将来の介護人材を増やすための取り組みがスタート。「介護の未来案内人事業」という取り組みです。

これは、「介護の未来案内人」として委嘱された若手の介護スタッフが、高校生や大学生などに向けて介護の魅力をアピールするというもの。世代の近い介護スタッフから若者へ介護のやりがいを伝えることで、介護職のイメージアップを目指した取り組みです。

ツイッターなどのSNSで仕事風景を発信したり、高校や大学を訪問して経験談を語るといった活動をしています。介護は大変なイメージがあるけれど、それ以上に喜びや誇りを感じられる仕事であること、思ったよりも明るく楽しい職場であること、具体的な仕事の内容などを伝えています。
案内人同士の横のつながりもでき、介護スタッフの活性化にもつながっているようです。

成功した取り組みは全国に広がることも

いかがでしたか? 各都道府県のこうした取り組みが実を結ぶことで、日本全国にその施策が広がっていくことも期待できます。
今後も地域独自の取り組みに注目していきたいですね。

★参考

「東京都における認知症への取り組み」
http://www.igakuken.or.jp/mental-health/dementiasymposium/research/gakujutsu_syukai/g_syukai130129/pdf3/h25_01_4.pdf

「ヘルスケア・ニューフロンティアの推進」
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/mv4/index.html

「埼玉県コバトン健康マイレージ」
https://kobaton-mileage.jp/portal2/service.html

「千葉県が『介護の未来案内人事業』をスタート。」
https://helpmanjapan.com/article/7803

キーワード:首都圏、医療、介護、福祉、認知症、認知症対策、未病、最先端医療、ヘルスケア・ニューフロンティア、超高齢化社会、ウォーキング、介護の未来案内人事業、介護人材